結婚。その呪文を唱えてはいけない!その②
「ガシャーン!!!」漫画でよく出る、物が壊れる際の擬音。両親の絶叫し、お互いを罵り合う声。私の親はよく喧嘩をしていた。口論をしていた。お互いの憎しみをぶつけ合っていた。私にとって世界で一番醜いショーを。幼かった私は何も出来ず、隅で目をつぶり耳を塞ぎ、ひたすら台風が過ぎ去り静寂が訪れる刻を我慢した。私はそんな幼少期を送っていた。
そして、とうとうその暴力の手は私にも及んだ。ある黒いモノによって。
※この画像でオチが分かったあなた、なかなかやるな!
ある日の夜、母が私に黒いモノを無理やり食べさせようとした。私は黒いモノが何なのか分からず、鬼気迫る母の表情に怯え、泣き叫びながら拒否する。しかし母の腕力には勝てず、無理やり黒いモノを口に入られる。私の口の中でその黒いモノはたちまち溶け出し、それが何の感触であったのか理解できず、私はたまらず吐き出す。すると母はますます怒り狂い、より大量の黒いモノを、私の口の中に入れようとする。
こんな惨状を帰ってきた父が見咎め、父も母に負けぬ憤怒の顔で「お前また何やってんだ!」と母に詰め寄る。母も睨み返し「私の勝手でしょ!」「ふざけるな!お前何やってるか分かってんのか!?」「あなただって同じことやってるでしょ!」「ああ!?俺はお前とは違う!」「違わない!」ヒートアップするケンカ。物が壊れる。笑顔満開の家族一家で写った写真立てが砕け散る。壁にヒビが入る。私の目にはこう写った。二匹の獣がお互いを食らい合おうとしていると。
通報を受けて警察官が駆けつける。警察官は苦虫を潰しきった顔で、
「あんたら、毎回!毎回!いい加減、
たけのこ派ときのこ派で言い争うのはやめろ!!!」
こうして、我が家でのたけのこ派ときのこ派の争いは終焉を迎えた。私の心に深い傷を残して。たけのこもきのこもこわい。
このトラウマが私が結婚したくない理由
たけのこ派ときのこ派ケンカはさすがにネタだが、似たような理由で私の親はたびたび喧嘩をしていた。
当時、私の家は貧しかった。お菓子やおもちゃをあまりもらえず、私自身、子ども心ながら「ああ、ぼくのいえはびんぼうなんだな」と悟っていた程だ。
当然、貧しい思いを我が子にさせ、自分の不甲斐なさとやり場のない怒りを、自分の最愛の人へとぶつけ合っていた。
出てくる話題は、常に決まって、金、金、金。
どこにも救いはなかった。明るくて笑顔で食卓を囲む、そんな理想な家族風景は、本かテレビでの出来事だと思っていた。
片方の親が、もう一方の親に憎しみをぶつけ、悪口を言い合う。
私の知りうる限り、子どもの精神衛生上、最悪な環境だった。子どもの教育で一番悪いものは他にない。
そんな親を見ながら育った私、
どうやったら結婚願望が出来るんだ。
そんな私が結婚。想像するだけで吐き気がする。
結婚の意識の差がよく分かる会話
A「そう言えば、あなた結婚しないの?」
B「いや、しない。」
C「どうして?仕事忙しいの?」
B「結婚したらどうなるか、何年も見せられて育ってきたから。」
A「えっ?えっ?」
C「あっ・・・。(察し)」
この会話で、結婚したい人としたくない人が分かる。
「あっ・・・。(察し)」出来たCさんは、親が不仲な家庭で育った。だから結婚は幻想だと悟っている。結婚の現実を実際にこの身で知っている。
逆に理解できなかったAさんは、親が仲いい家庭で育った。だから結婚に未来を、希望を見出している。結婚はいいものだと捉えている。
これが「結婚したい人」と「結婚したくない人」の気持ちの差だろう。お互い理解できないのは当然だろう。
そして私はこれを女性攻略のネタにした。
私は、意中の女性を落としたい時によくこのネタを使った。
薄暗いバーで、私は遠くを見るようなさみしげな表情を作り、この話をする。
当然彼女はこの話をされて困惑する。
そこで私が潤んだ目で、
「でもね、ボクは知りたいんだ。結婚という幸せを。安らぎを。」
と彼女の手をそっととる。
「君となら初めて知れそうな気がする。そう、君でないとダメなんだ。」
これで彼女の♡はイチコロさ☆
彼女の母性本能を電マ並に刺激しまくりさ☆
ラブホという愛の巣へまっしぐらGOさ☆
エークス何回だってOKさ☆
私はこの戦法で何人もの女性を泣かしてきたさ☆
さて、今夜もあの子を攻略してくるさ☆
完。ちなみに私はきのこ派だ。