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上段回し蹴りで地球を救うふりをするブログ

読者たちが「クスッ」と笑えるようなおバカブログを書いています。あ、上段回し蹴りと地球は全くないです笑

上段回し蹴りで「柔道王」篠原信一を倒してみる③

「ちぇっ、雨が降っちゃったか」

篠原信一はそう悪態をついた。

私はTV取材の後、ふと空を見やった。

天気が曇っており、雨が降るか降らないかの境界でせめぎ合っているように見えた。

私は一瞬タクシーを利用することを考えたが、結局は徒歩で帰宅することにした。

それがいけなかった。私はこの判断を一生後悔することになった。

 私が歩いた数分後に、結局天気は雨の方に分配が下り、ぽつぽつと水滴が彼を濡らし始めた。

最初は小鳥のように静かで弱かったが、たちまち猛獣が雄叫びをあげるが如く、急速に雨の勢いが強まった。

私のスーツをたちまち濡らすのはもちろん、力強い雨の水滴一つ一つが私の皮膚を突き刺す。

私は思わず苛立ち、自分の判断ミスを悔いながら、とにかく一刻も早く家にたどり着こうと、足を速めた。

帰り道の公園を横切ろうとした、その時だった。

「あんたが篠原信一さんかい?」

と公園の向こうから、青年らしき人に声を掛けられた。

私は一瞬耳を疑った。

しかし私を名指しで呼んだし、そもそもこの公園には私しかいなかった。

私はあからさまな場面に怪しさを感じたが、

「はい、私が篠原信一ですが・・・?」

と応じることにした。

すると青年は、

「今日は雨が強いなぁ。ちゃんと天気予報見とくべきだったかな。」

と世間話でも始めるかのように、気軽に声をかけてきた。

私は訝しがった。

青年も私同様すぶ濡れだったが、どこか様子がおかしい。顔は穏やかだ。そう、「穏やか」なのだ。

こんな大雨で、そんな余裕は普通はないはずなのに。

「・・・はい、そうですね。ところで私に何か用か?」

私は怪しい青年から一刻も離れるべき、あえて厳しい口調で返した。

青年はにっこりと笑い、

「ええ、用ならありますとも。篠原信一さんに。」

私は薄々気づいていた。しかしあえて、こうとぼけることにした。

「私に用?何の用でしょうか?」

すると青年は、クックッと凄惨な笑みを浮かべたかと思うと、

「いやいや、分かりきったことを聞きなさんな。」

と格闘技特有の構えをし出した。殺気を伴いながら。

篠原信一。あんたとケンカがしたいのさ!」

私は舌打ちをした。

まただ。こういう勘違い野郎が出た。私を倒して名声を得ようとする、そんな幼稚で暴力的な願望から、このように絡まれることもしばしばある。そして、その勘違い野郎は全員地面に叩き伏せてきた。

付き合いきれない私は、

「いえ、お断りします。悪天候だし、そもそもあなたとケンカする理由もない。」

私は踵を返し、早々にこの場を去ろうとした。

その心を見透かしたか、青年はこう挑発してきた。

「おやおや、篠原信一とも有名なお方が逃げるのかい?タレント生活で闘争心をなくしてしまったのかい?」

私はこの挑発に乗らず、無言で遠ざかろうとした。

青年は焦ったか、

「いい機会だから言うが、

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この格好は非常に似合ってるよ。正に「進撃の巨人」の雰囲気にぴったりだ。

俺も感心した程だよ。

でもな、

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これ、純粋にキモい。

私は逆上し、生意気な青年を懲らしめるべく、青年に近づいた。

青年は大胆不敵な笑みを浮かべ、

「ひゅ~、やる気になったんだな。それにしてもあんた、本当にデカイな。」

と私の目を睨みつけ、「人をガチでボコる」そんな狂気じみた表情をした。

だが私はそれに臆しなかった。

青年は「小さい」。もちろん私の基準おいてだが。

私はこれまで身長190cmオーバー、体重100キロオーバーの化け物たちを、何度も何度も投げてきた。数えるのを止めるほど。

そんな青年は100キロもない。せいぜい70キロオーバーだろう。

投げやすい。

とりあえず青年を地面に叩き落とそう。もちろん手加減して。

私はドスンドスン!と圧力をかけるようにして、青年に近づく。

青年は微動だにしない。構えたままだ。

もしかして、青年はブルっている?だとしたらかわいいもんだ。

でも、

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これをバカにされたのは許せねぇ!俺だって飯食うためにやってんだ!後で説教だ!

その怒りを撒き散らしつつ、とうとう腕さえ伸ばせば、青年に触れる距離まできた。

この距離が私の最も得意とするゾーンだ。このゾーンで、幾多の柔道家を投げてきたか。

私は無意識に、かつ最短スピードで青年の胸ぐらを掴んだ。

そこで私は初めて気づいた。ありえない。これは想定していなかった。

「やられた!!!」

と驚愕の顔を浮かべ、青年を殺気込めた目で睨みつけた。

しかし青年はヘラヘラとし、

「どうした?投げないのかい?」

と挑発してくる。

私は歯ぎしりをしながら、「自分は投げられないのかもしれない」この悪魔の囁きに心を激しく乱された。

その悪魔の囁きを振り払うべく、青年の胸ぐらを力づくで寄せ、それと同時に腰を落とし、勢いのままに彼を地面に叩きつけようとしー。

 

続く。

文字数1912文字

所有時間58分