私の悪ノリで、女性後輩にとんでもない罰ゲームをさせてしまった話
私はどこにでもいるおじさん。今年で3✕歳。最近は口臭が気になるお年頃。
そんな私も昔は若かった。とにかく血気盛んだった。「我は神なり。運命は我に味方している。」といった、変な万能感すらあった。今思い出せば、枕に顔を押し付け、足をジタバタさせるレベル。「どうして!どうして!」と。
というのも、いつもの慣習でAVをエロ紳士的に鑑賞していた時、ある過去の記憶がフラッシュバックの如く蘇ったからだ。
結論から言おう。私が前職で営業職をしていた時、若手女性後輩をコスプレさせてしまった。訴えられてもおかしくない、語道断なことをしでかしてしまったからだ。
私は過去に、とある会社の営業職として働いていた。もう十年近く前の話だが。
営業職をやられている方ならご理解いただけるかもしれないが、とにかく営業職は例外をのぞいて、数字が全て。どれだけ契約数をとったか、どれだけ会社の利益に貢献したか、非常に分かりやすい競争そのもの。
私の前の会社は「数字が全て!結果を残せないやつは給料泥棒だ!精子レベルでやり直せ!」と上司が大声で公言する、そんな過酷な職場であった。今時に言えば、ブラック企業真っ青だった。
入社当時は「争いはいくない!皆仲良くやろうよ!」とラブ&ピーズの博愛精神を持っていたが、入社数年後は「ワタシハ契約ヲトルタメニ生マレテキタ」とすっかりダークモードに染まっていた。
そんな中、私より一年遅れて入社してきた女性後輩がいた。その女性後輩は一言で言うと男勝り。「私は男なんかに負けない!」と意識高い系、悪く言えば人を見下しがちな人だった。
タチの悪いことに、その後輩はキャリアが浅いのに営業成績が良く、我がチームで成績5位内の常連者だった。ちなみにベスト10に入ることは、はてなブログでいえば、月アクセス数10000、ブックマーク平均30に匹敵する。
おまけに顔立ちもよく、身長も160cm超え、モデル並の美貌を誇っていた。こんな感じである。
当時、私の営業成績はギリギリ5位に入るか入らないかだった。つまり、後輩とはライバル関係だった。私の方が先輩なのに、後輩と全力で営業成績の競争をする時点で、恥ずかしかった。先輩のメンツ丸つぶれだった。
そんな彼女は私のことを少々見下していたか、「アキト君!」と平気でタメ口を聞き、私と仕事関係で連絡すると、「それおかしくないですか?間違ってません?」と反発しまくり。
この時点で私の内心では、彼女に上段回し蹴りを連発する妄想すら覚えた。それ程腹立っていた。憎々しかった。
ある日、とうとう私の忍耐が限界に達したか、
「お前さ、ちょっと態度偉くね?」「はぁ?アキト君に言われたくないんですけど?」「新人だからって、調子にのるのはよくないだろ?」「でも営業成績は私と変わりないですよね?」
と彼女と口論した。私だって男だ。私なりにメンツというものはある。彼女をギャフンと言わせたい。もっとひどく言えば、屈辱させたかった。それ程私は頭にきていた。
「なら俺と営業勝負しないか?」「はぁ?別にいいですけど、アキト君には勝つ自信はありますよ?」「言うねぇ。負けたら罰ゲームありでどう?」「いいですよ。むしろ先輩のアキト君こそ、負けたら逆恨みしたり、ブッチしないでくださいよ。」
こうして、私と後輩の戦いは始まった。口ケンカの売り買い言葉とはいえ、今思えば非常に大人気なかった。しかし、誰かが調子に乗っている後輩の鼻を明かすという、悪役を買って出なければならない状況だった。
そして、肝心の営業成績の勝負だが、私が勝った。
といっても、彼女のこれまでの傲慢に近い営業態度が、とある方のクレームを買い、そのクレームが大事に発展し、彼女はその処理に追われ、営業どころではなかった。
当然、そんな彼女に同情することはなく、私はコツコツと営業に力を入れ、着実に営業成績を残していった。
すっかり負け犬顔した後輩に対し、
「一応俺が勝ったけど、罰ゲームはどうする?」「・・・受けますよ。罰ゲームしたらいいんでしょ!」
私は内心呆れていた。こいつ、どこまで強気なんだと。その時、私にゲス心が芽生えた。
「なら、罰ゲームはコスプレでどう?」
と。
あの時、彼女の信じられない顔で私を見る表情が、未だに忘れられない。
「やらないの?やらないんなら、別にブッチしてもええけど。」
私は彼女の鼻さえ明かせればそれでよかったので、本気で要求する気はなかった。これで彼女が少し大人しくなればと思っていた。しかし、予想外の返事が。
「・・・分かりました!やればいいんでしょ!やれば!」
逆切れし、開き直った彼女に私は狼狽した。やりすぎた!とすら後悔した。
「いや、別にムキにならなくてもええよ。」「やるったらやりますって!私をバカにしないで下さい!」「いやいや、俺も本気で言ってないし、第一、お前の体に興味なんてない。」
これがガンだった。女としてのプライドを傷つけられた彼女は涙目になりながら、
「いいから、どんなコスプレをすればいいのか言って下さい!言っておきますけど、それ以上はダメですから!着るだけですから!」
ヒステリックにわめいている彼女に、私はオロオロ、悪く言えばドン引きしていた。
結局、自分コスプレ撮りの写真を、携帯で私に送るということで話はまとまった。さすがに、顔出しNG、絶対他人に見せない、悪用しないという条件付きだったが。
そして、彼女はマジでやりやがった。有言実行しやがった。私の送ったコスプレ服を着て、自画撮りしやがった。
彼女の自画撮り画像を私の携帯に送られた時は、思わずこうつぶやいた。
「色気ねぇ。」
と。
どうみても素人丸出しで、鏡越しに撮った写真は、素人投稿サイトでも「イイね!」すらもらえなさそうなレベルだった。悪用しようにも、その価値すらなかった。
その後は当然といえば当然。会社内で「男の敵!」と私を視線で殺すような目つきで、彼女と接するはめになった。きっつー。
そして、延々と長くなったがここからが本題。
彼女に渡したコスプレ服を投げるようにして突き返された私は、処分に困って、今も私の家のタンス奥深くに眠っている。
マジこれどうすればいいのか悩んでいる。誰かアドバイスが欲しい。ヘルプミーである。私の悪ノリがこんな結末を生むなんて想像すらしていなかった。
オチとして
この頃から、私は会社内で「性獣」と呼ばれ始めた。思い当たることが多少はあっただけに、反論すら出来ず、会社内では女性陣から害虫扱いされる会社生活を送るハメになった。ちくせう。
良い子の皆!いくらムカついたからといって、悪ノリで「コスプレ!コスプレ!」と言っちゃダメだぞ!おじさんとの約束だぞ!
以上ー!
文字数2779文字
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