上段回し蹴りで地球を救うふりをするブログ

読者たちが「クスッ」と笑えるようなおバカブログを書いています。あ、上段回し蹴りと地球は全くないです。

正論クンをしばいたった

私が通っている訓練学校は「仕事が出来なかった」人たちが通う魔界の施設。

そんな昨日。

私は正論クンをタイトル通りしばいたった。

私と同じ科の正論クンは最初は素直だった。

年は私と近く30代前半だったこともあり、意気投合した。

今思えば正論クンはどこか人間として致命的に変だった。

ファッションなのか個人なりの信念なのか、今でも判断が出来ない。

ただ、あの非常に先鋭的なトゲトゲの靴を履く人は得てしてやばい類かもしれない。

闇金ウシジマくんの悪党のボスの獅子谷弟が履いていた靴を、正論クンは履いていた。

クローズの坊屋春道が着るようなスカジャンを、正論クンは着ていた。

この時点で「あ、こいつダメや」と思い、距離をめちゃとっていた。具体的には3mほど。

しかし正論クンの外見は、非常に悔しいことに爽やかでイケメン系だった。

私はそれにだまされた。

正論クンは授業が分からず(この時点で頭の良し悪しは察してほしい)、つまるところが多かった。

その度に私は見かねて、

「ここはこうだよ」

「アキトさんっ!」

正論クンは本当に素直だった。

恐らく裏表があまりない人間なのだろう。

しかし社会人としては不適応者、わかりやすく言えば社会から「ノー」を叩きつけられた人。

30代になっても工場勤務やバイトなど、まともな職業につけなかっただけあり、とにかく正論を吐く。

周囲をうざがらせて、早一ヶ月にして、講師たちから「要注意生徒」扱いされていた。

勘違いしないでほしい。

誰でも正論は持っていると思う。

しかし大声でうたうのではなく、

出来るだけ隠し持ち、ここぞという場面でこそ初めて言うものだと私なりの処世術を持っている。

逆に言えば。

あの人に手っ取り早く嫌われる技術として、常に正論を吐けばいい。

最初は聞いてくれるが次第にフェードアウトしてくれる。

もちろん周囲に「こいつはき○がいってw」というレッテルを貼られる。

私も最初は正論クンの正論に耐えていた。

「ごめんやけど言わせてもらうわ。アキトさん昨日休んだの?真面目に来ようよ!」

「ごめんやけど言わせてもらうわ。アキトさんは口が重いと思うよ。もっと科の人たちと仲良くなろうよ!」

「ごめんやけど言わせてもらうわ。訓練手当金は税金から出ているから有意義な使い方をしようよ!」

「ごめんやけど言わせてもらうわ。アキトさんの昼食はバランス悪いと思うよ。もっと野菜をとろうよ!」

「ごめんやけど言わせてもらうわ。アキトさんにとって授業が簡単だからって仏頂面しないで!周りの生徒たちのことも考えようよ!」

私はこの時点で放課後に正論クンを呼び出した。

「君の言うことはもっともだけど、ごめんやけど言わせてもらうわ。うるさいから控えて。」

正論クンは逆上した。

私は静かに言い放った。

「君は最初は友達はすぐに出来ても気がつけば離れているだろ。」

正論クンは無表情になった。

私はこの場を去った。

来週からは正論クンとは赤の他人になっているだろう。

でも私はそれでもいいと思っている。

私は正論クンを心の底から見下しているから。