16歳の高校生をボコボコにした3◯歳の私③
前回のあらすじ。
大魔神の異常なパワーの突きと蹴りを、ミットで受けるやる夫。
私はやる夫の葬式の準備をし始めた。
まるで「一緒にポケモンGO行こうぜ!」と言った気軽な感じで、
大魔神「じゃあやる夫行くよー」
やる夫「押忍!」
このやり取りが、私には異常な光景に思えた。こいつらキ◯ガイか?とすら思った。
例えるとケンカで、ヤンキーが金属バッドを持ち出したようなもの。それ程の威力が大魔神にはあるのである。
そんな大魔神が蹴りの構えをすると、やる夫の顔にやや緊張が走ったように見えた。
私はやはり無謀では?止めるべきでは?と未だに心の中で葛藤していた。
こういう光景しか思い浮かばないからである。
そんな私の葛藤をよそに、大魔神の気迫と共に、凄まじいスピードの突きと蹴りがやる夫のミットを打つ!
※大魔神とやる夫のミット打ち練習のイメージ。
言葉もなかった。
大魔神の突きや蹴りが速すぎ、そして一撃一撃が重かった。素人相手だったら5秒もあれば、相手は地面にキスしているだろう。
これが黒帯クラス!これが県大会準優勝者の実力!強すぎる!
しかしそれよりも信じられなかったのが、やる夫。
やる夫は大魔神の攻撃を全て受け切った。
大魔神のパワーとスピードに押され負けず、最後まで一歩も後ろに引き下がらなかったのである。
突かれても、
蹴られても、
連続攻撃されても、
やる夫は耐え切った。
私は雷を打たれた思いだった。
16歳の高校生が、ミット越しとはいえ、黒帯クラスの攻撃を耐え切った。
私はそれが信じられなかった。夢だとさえ思った。
そんな中、
「押忍!」
と共に大魔神とやる夫のミット打ち練習が終わった。
練習後、どうしても気になった私はやる夫にこう尋ねた。
「あの大魔神の攻撃を耐え切るなんて。痛くないの?怖くなかったの?」
と。すると、やる夫はきょとんした顔で、
「いや、めちゃ痛いけど慣れてるんで!」
この表情である。
瞬時に私はこう悟った。
例え金属バッドでめった打ちにしても、やる夫は決して倒れないだろう。
それくらいのタフさと根性と気合を、16歳の少年が持っている。
これが空手か!
気がつけば、JKのOさんのやる夫を見る目がいつもと違った。
強い男を見る目をしていた。そう、メスの顔をしていた。
16歳のガキに、3✕歳の私が同じ男として負けた。
その事実に耐え切れず、私は逃げるようにして道場を後にした。
JKのOさんの胸をガン見するのも忘れずに。
後日、そんな強さを持ったやる夫が、県大会で万年予選敗退者だと聞かされたー。