上段回し蹴りで地球を救うふりをするブログ

読者たちが「クスッ」と笑えるようなおバカブログを書いています。あ、上段回し蹴りと地球は全くないです。

スーパーの半額シール弁当で落ち込む私

最近、私は落ち込んでいる。私は今年で3✕歳になり、そろそろ人生の往路も定まりつつある今日。幼少期、10代、20代を過ぎ、今は30代に差し掛かり、自分の人生について物思いに耽るようになってきた。特にお気に入りのセクシーアイドルのDVDで賢者モードに至った直後が多い。

 

中でも、「半額シール」が特に私を落ち込ませる。スーパーの弁当とかによく貼られているあのシール。文字通り、定価より5割は安くなり、どう見ても在庫処分セールです。ありがとうございました。そんな感じのお買い特感たっぷりで、ボンビーな人々にとっては嬉しいシステム。

 

そんなシールが、私を割と落ち込ませている。若い頃は気づかなかったが、おじさんの年となった今日、気づいたある事実。それが私の胸を深くえぐり、私のお腹をギューっとさせられている。

 

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 私が新社会人で、大人としてまだまだ一皮むけていなく、どちらかというと皮が余り気味だった頃、給料がクソ安かった。貯金が出来ないどころが毎日の生活で割とギリギリだった。ひどい時は給料日一週間前をカップラーメンのみで乗り切った記憶がある。

 

そんな時期、玉◯やラ◯フなど、大衆スーパーへ夜8時か9時にいけば、大抵の弁当が割引されるという情報を聞いた。私は半信半疑で行ってみたら、本当に割引されていて、「お宝物を見つけた!」と軽く興奮した。今思えば懐かしい。

 

あれから私も年をとり、3✕歳になった。生活にようやく余裕が出来て、一ヶ月一回の泡姫との邂逅が安定してきた。もちろんエロDVDも、昔は悩みに悩んでようやく2~3本買ったが、現在は10本以上は大人買いが出来る。

 

経済的に余裕が出来たそんな今日、仕事がいつもより遅く終わった。私が会社を後にした時は午後8時過ぎと、すっかり夜になっていた。

 

「ちぇっ。結局残業しちゃったか。あのクソA主任のせいで!いつか上段回し蹴りをお見合いし、一ヶ月間の入院生活をプレゼントしたる!激おこプンプン!」と、サラリーマンにありがちな、ささやかな呪言を呟きつつ、とりあえずは腹ごしらえのために、あるスーパーへ入った。そこで私は衝撃的な光景を目撃した。

 

そこはお弁当コーナーだった。お弁当コーナーだけ、客らしき人々が異常に集中していた。朝の通勤電車並のギューッコミコミである。普通なら、さっさと通り過ぎるはずの場所なのに。まるで何かを待っているようだった。私は最初は何かのイベントが始まるのか?と訝しかった。

 

その疑問はすぐに解けた。というか、夜を大分過ぎた時点で気づいた。私は経験者だから分かった。

 

店員さんが例の「半額シール」をお弁当に貼っていくるのを、客たちは今か今かと待っていたのだ。最初、私はズッコケた。てっきり落ちぶれた元有名タレントとかが営業とかで来るのだと思い込んでいた。そこまでして半額シールを待つんかい!?と思った。

 

しかし、次第に私の顔は少々青ざめてきた。半額シールを今か今かと待つ客たちの中で、どこか見覚えのある人を見つけた。もちろん知り合いではない。話したこともない。その人は50代か60代と、お年を召された方、いや、おっさんだった。

 

というか、あなたは十年前にもいただろ!?

 

私は衝撃を受けた。私が新社会人になった時から、そのおっさんはいた。当時は「えー、もういい年なのに、未だに半額シールを待つ身分なんだ・・・。」と若かった私は生意気な同情を覚えつつも、同じ貧乏者同士、半額シール弁当を奪い合っていた。カツ丼、ハンバーグ弁当、天ぷら丼など、数々の死闘を繰り広げてきた。メンチを切りあった時もあった。

 

しかし、あれから十年が経った今なのに、まだおっさんがいた。気のせいか、顔は老いが進んでおり、無性ヒゲがあちこちにあった。服装も使い込まれていたか、擦り切れていた。

 

おっさんは私のことを覚えてはいないのか、私が驚き切った表情に気づいてはいなかった。半額シールを貼る店員さんが来るのを待ち、狩人のような目で弁当コーナーに立ち尽くしていた。よくよく見ると、おっさんの他にも、明らかに生活に困っていそうな人たちが数人はいた。

 

これきっつー。マジくる。いい年をした人たちが、お弁当コーナーを包囲し、そばを通る客の迷惑も考えず、明らかに自分のことしか考えていない行動をしている。思わず「大の大人が恥ずかしくないの!?」と言いたくもなる。

 

そもそも、半額シール弁当を買う。これを恥ととるかとらないか。問題はそこである。節約家で賢い行動と見れば、割引商品にすがる乞食者と見る事もできる。要は個人の価値観の問題だ。

 

でも。あくまでも私の価値観としてだ。「年をとっても未だに半額シール弁当を買う」。その事実が、私に効く。ボディブローのようにじわじわと効く。もし私がすっかり落ちぶれ、半額シール弁当に頼る日々を送ってしまったとしたら。

 

「アキオのやつ、いい年して未だに半額シール弁当を買っているんだぜ!」

 

無理。無理。想像したくない。泣きたくなる。救いようのない、謎の絶望感に襲われる。

 

オチとして

すっかり落ち込んだ私はさっさと弁当をカゴの中に入れ、数十分は店内をあちこちあるき回った。すると店員さんがシールを貼りに来た。私は店員に詰め寄り、この言葉を言い放った。

 

「ヘイ!この弁当にもシールを貼ってよ!」

 

えっ?言ってることが180度違う?

 

ロストヴァージンをした私の面厚さを無礼るな!

 

以上ー!

 

所要時間1時間42分

文字数2234文字