たまにはほっこりする話でも書きたいお年頃
私のブログの記事を読み直してみた。最初は「空手の素晴らしさを伝える!」を目標にしていたが、いつの間にか下ネタ系ブログに。私の汚れきった心に若干焦りを覚え、ここは初心に帰る意味でも、今回はほっこりする記事を書きたい。
小学生向けのほっこりする記事として、タイトルは「私と泥棒のおじさんとメリークリスマス」。元ネタは、漫画「ひとり暮らしの小学生」を見て、思いついた。この漫画はガチで両親がおらず、小学生がひとりでお店を切り盛りしながら暮らしをしており、状況は非常にキツイのに、なぜか和む。そんな漫画です。オススメ!
ある冬、泥棒のおじさんは空き巣に入るため、たくさんの家を見て回っていました。
空き巣に入りやすい家を見つけ、しかもドアの鍵がかかっていなかったのを見つけた泥棒のおじさんは、人気が少なくなった夜に、その家に侵入しました。
泥棒のおじさんは「よし、入れた。さて金目のモノを物色しよう。」とタンスを漁り始めました。
すぐに泥棒のおじさんは違和感を持ち、「なんだ、この家。家は大きいのに、生活品や服などのモノが少ない。ひとり暮らし?それにしては子どものモノが多い?」と思いました。
その時、急にドアが開き、一人の少女が入ってきました。泥棒のおじさんは「やばい!見つかった!」と焦りました。
少女は驚いた顔をしましたが、次第に目を大きくギラギラと輝かせ、
「やっと来てくれた!」
と喜びを爆発させました。ひまわりのような笑顔をしていました。泥棒のおじさんは訳が分からず、少女にこう聞きました。
「どういう意味なんだ?おじさんを待ってたのか?」
「えっ、おじさんはサンタさんじゃなかったの?」
その時、泥棒のおじさんはハッとしました。今日はクリスマスイブの日なのだと。だとしても、やはりおかしい。
「お嬢ちゃん、お父さんとお母さんは?」
「ママは死んじゃった。パパは2年前に出ていったきりなんだ。私、ここでパパの帰りを待っているんだ!」
と少女はあっけらかんに答えます。泥棒のおじさんは大変驚き、少女の服を見ます。よく見ると、すっかりくたびれており、貧しいものでした。少女の顔も痩せこけていて、髪も少々乱れています。
少女はやがて気づき、
「おじさんはサンタじゃないよね?ごめんなさい。私はずっと誰にもプレゼントもらってないから、勘違いしちゃった。」と謝ってきます。泥棒のおじさんは言葉につまります。
ふと少女は首をかしげ、
「おじさんはサンタじゃないなら、どうしてここにいるの?」
「お、おじさんはトイレを借りに来たんだ!鍵かかってなかったから、入っていいかなと思ったんだ!声掛けなくてごめんな!」
少女はパッと笑顔を見せ、
「そうだったんだ!トイレはこっちです!」
と泥棒のおじさんをトイレに案内してくれました。泥棒のおじさんはトイレの中で声を殺して泣きました。
トイレから出た泥棒のおじさんは、
「お嬢ちゃん、もしかしたらパパを知ってるかも。」
「えっ、本当!」
「本当さ。パパは今遠いところで働いていて、帰れないみたいだって。なんならおじさんがパパに言って、お嬢ちゃんにクリスマスプレゼント届けるように頼もうか?」
少女はこれ以上ない喜びを爆発させ、
「ありがとうございます!おじさん!でも今日でクリスマスイブ終わっちゃうし、意味がないよね?それにサンタさんはパパだったの?」
「は?勘違いしてるみたいだけど、クリスマスイブは今日、12/24。そしてクリスマスが12/25。つまり明日もクリスマスさ!そして、サンタさんはパパが変身した姿だよ!」
少女は、
「わーい!ありがとうございます!ありがとうございます!プレゼントも嬉しいけど、パパに会えるのが一番嬉しい!」
と何回もお礼を言いました。泥棒のおじさんは胸がザクザクっと刺さるのを耐えて、
「それじゃあ、おじさんは帰るから。あ、鍵はちゃんとかけときなさい。」
と言って、逃げるようにして去りました。
そう、泥棒のおじさんは警察に捕まりたくないため、とっさにウソをついて、その場を逃げ出しました。なのに少女はニコニコ顔で玄関まで見送ってくれました。
そして12/25。
泥棒のおじさんは、夜にまた少女の家に侵入しました。片手にプレゼントを抱えて。
「くそっ、俺何をやっているんだ。」
少女が眠っている部屋までこっそり行き、すやすやと寝息を立てている少女の横にプレゼントを置きます。
「なんだ、泥棒に入る時より緊張するぜ。」
と冷や汗をかきながら、素早く家を脱出します。泥棒のおじさんは一人でこう呟きます。
「・・・メリークリスマス。」
その瞬間でした。警察の人たちが現れました。警察の人たちは大声で、
「待てっ!お前そこで何をしている!噂の泥棒か!?」
と激しく詰め寄ってきます。泥棒のおじさんは、
「違う!俺はたまたま通りかかっただけだ!」
「なら、なんであの家から出てきた!」
「道を間違えただけだ!第一、俺が泥棒という証拠はあるのか!?」
「そ、それはそうだが・・・。」
泥棒のおじさんがシラを切ろうとしたその時でした。少女がパジャマ姿のまま、玄関から出てきました。プレゼントを抱えたまま。大声を聞きつけて、起きてきたのでした。
少女は、おじさんを見つけ、
「あっ、おじさんだ!やっぱりおじさんがサンタだったの?パパはサンタさんに変身して、来てくれなかったの?」
泥棒のおじさんは、少女を見ます。少女の純粋な瞳を見て、覚悟を決めます。
「いいや、パパは来たよ。サンタさんに変身して。その証拠にプレゼントがあるだろ?」
「うん・・・。でも、おじさんはなんでここにいるの?やっぱり、おじさんがサンタ・・・。」
「はぁ、何言ってんだ。おじさんは、この近くで泥棒をしていただけだ。たまたま運悪く警察に捕まっちまっただけだ。」
泥棒のおじさんは自ら手首を高くかざし、警察官にこう言います。
「そうだよ!俺は盗みに入っただけだ!早く捕まえろよ!俺は間違ってもサンタじゃないからな!」
こうして泥棒のおじさんは警察に捕まり、パトカーに乗せられていきました。少女はそれをじっと見守ります。
「おじさんは本当に泥棒だったんだ。せっかくパパがサンタさんに変身してくれた今日なのに、嫌なものを見ちゃった。」
とプレゼントを固く抱きしめます。
結局、少女が泥棒のおじさんがサンタさんだと気づくのは、中学生になった時でした。
ハッピーエンディング
捕まった泥棒のおじさんは、刑務所に入り、三年はいました。刑務所を出所したおじさんは、少女の家に行きました。少女がどうなったのか気になったためでした。
そして少女はいました。少女は中学生になって、すっかり大人びていました。少女は泥棒のおじさんを見つけ、
「・・・おかえりなさい。サンタ役を演じてくれた、お人好しの泥棒さん。」
その後は二人で仲良く暮らしましたとさ。
以上ー!なんか背中がむず痒い。
所要時間58分
文字数2857文字