上段回し蹴りで地球を救うふりをするブログ

読者たちが「クスッ」と笑えるようなおバカブログを書いています。あ、上段回し蹴りと地球は全くないです。

私とM先輩とSさんと、当て馬ファ◯クユー!

「当て馬」という言葉をご存じだろうか。私如きが説明するのは生意気も甚だしいが、今回の記事のテーマのため、あえて説明させて欲しい。

 

当て馬とは、競争馬が子を成す際、その気にならないオス馬を興奮させる、つまり性欲を刺激させるためにあてがわれるメス馬のことである。

 

用意されたメス馬がオス馬を性的に興奮させ、その気にさせたところで、子を作らせたい本命のメス馬へチェンジする。文字通り、主人公をその気にさせるためだけに生まれた、いわゆる使い捨てキャラそのものである。

 

恋愛で言えば、気のある相手を落とすために利用する「気のない」相手のことである。この時点で、当て馬がどれだけピエロな存在、むなしい存在と思っただろうか。

 

そんな当て馬に、私が今日会社内でその役を担わされた。尻軽の若手女社員Sさんのために。

 

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 最初、会社の勤務終了後、たまたま帰り道でM先輩と顔を合わせた。M先輩は別の部署だが、昔は私と一緒の部署で働いていた。

 

M先輩は私より年上で、四捨五入すれば40代になってしまうお方。そんなM先輩は仕事が非常に出来る方で、私の部署の時は、エース級の活躍をされていた。上司であるA主任も一目置く程。

 

当然、M先輩には出世の話が来たが、M先輩の信念により、その話を断ったらしい。そして今も私と同じ平社員の立場。「孤高」を地で行く方。正直、なぜM先輩ほど仕事が出来る人が、より活躍をされないのか未だに疑問だが、これもM先輩が選んだ道なら、私はあえて検索はしまい。ただ、敬意を払って「M先輩!」と尊敬させていただくだけだ。

 

当然、M先輩は会社の女子社員たちにモテている。M先輩のルックスもさるごとながら、仕事面で非常に頼れ、また男らしい無骨な性格で、まさに男の中の男。この女泣かせの私でさえ「M先輩カッコええー!」と認める程である。

 

そんなM先輩に好感を持っているのか、あるいは依存したいのか、男に惚れやすい、いわゆる尻軽、ビ◯チ的な、若手女社員Sさんがいた。彼女も私と同じ部署で、M先輩と一緒に働いていた。その頃から、SさんはM先輩をメス顔で見ていたのを、私は見逃さなかった。

 

別に私はSさんをバカにしていない。むしろ、Sさんは非常に寂しがり屋で、常に誰かに構ってもらわないと落ち着かない人。その気持が分かる部分があるだけに、Sさんのことをバカに出来ない。男の中の男のM先輩に近づきたいSさんの気持ちが分かる。むしろフォローしてあげていた位。

 

しかし。そんな私でさえ、怒りを隠しきれなかったのが今日。M先輩と久しぶりに顔を合わせた時だった。

 

「あっ、先輩、お疲れ様です!」「あっ、アキオ君、久しぶり。元気にしてた?」「はい!先輩の方はいかがでしょうか?毎日、こき使われちゃってますか?」「うん笑。俺はすっかり便利屋扱いされてるよ。」「いやいや、先輩はそれ程頼りにされてるんですよ。羨ましい。」「えー、そうかぁ。年下の女上司にこき使われるのはいい気分じゃないけどな。」

 

といった感じで、先輩後輩同士の本音の出し合い、男同士の腹を割っての笑い話。楽しかった。この時間が少しでも長く続けばいいなぁと思った程。

 

そこへSさんが割り込んだ。

 

最初、Sさんの姿に気づいたのはM先輩。M先輩の目がSさんを捉えた時、私は「あっ」となった。私と先輩の話を盗み聞きしていたのだ。いや、私の悪意が入っているのかもしれない。Sさんはたまたま、私とM先輩の姿を目撃しただけかもしれない。

 

正直、私としては男同士の話に割り込まずに、気を使って黙って立ち去って欲しかった。Sさんは20代になりたてのホヤホヤ。だからこそ若者故の先走りか、空気を読めなかったのかもしれない。

 

案の定、SさんはM先輩を質問攻め。「こんばんわ!M先輩!お仕事お疲れ様です!」「お、おう、お疲れさん。」「さっきチラッと聞いてしまったんですが、M先輩は違う部署でもご活躍されているんですねー!」「いやぁ、そんなことないよ。」「えー、そうなんですかー!?うちの会社内で、M先輩のこと「カッコいい!」とよく噂になってますよー!」「そうなん?ありがとうね。」「M先輩は告白とかされちゃったりしますか!?」「ま、まぁね・・・。」「えー!やっぱりー!◯◯さんに告白とかされちゃったりしました!?」「えっ、◯◯さんからはされてないよ。」「うっそー!またまた!」

 

当然、私は置き去りにされていた。物を言わぬ彫刻化していた。

 

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Sさんはすっかりメス顔になり、M先輩を熱く見つめていた。当然、Sさんの熱い視線に気づいていたM先輩はひたすら困惑していた。Sさんはやっと私を見たかと思うと、「えー、まだいるの?空気を読んで、早く帰ってくれないかなー。」ばりの顔をしてくる。つい、Sさんに上段回し蹴りを放ちたくなった程だ。

 

私はこの時点でアホくさくなり、「おーおー、お熱いことで!」と最高の皮肉を言って、さっさと帰りたかった。しかし、私が去ると、ますますM先輩はSさんの執拗なアプローチに合いそうだったので、仕方なく私もその場に居座った。

 

SさんがM先輩に夢中になる気持ちは分かる。ジャニーズに憧れる少女を責められる人はいようか。私が逆の立場だったら、Sさんみたいになっていたかもしれない。しかしだ。それでもだ。

 

私の存在をなかったことにされ、当て馬にされ、男としての否定される私の気持ちにもなってみろ!

 

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私にとって精神的レ◯プに等しい時間が優に30分は過ぎた。すっかりレ◯プされ生気を失った目をした私をM先輩は放っておけなかったのか、

 

「Sさん!俺、疲れてるから、そろそろ帰るわ。」「えー、もっと話したいですー。」「ごめん、また今度な!」「・・・はい、それじゃあ、またですー!」

 

当然、SさんはM先輩に未練がましい別れ挨拶をしてて、私の別れ挨拶は完全無視されていた。ガチでカカト落としを二連発放ちたくなった程だ。

 

M先輩は男らしくスパッとSさんを振り、私と帰路を共にしてくれた。M先輩の男気に私は更に尊敬し直した。しかし。今の私はすっかり男としてのプライドを砕かれた気分だった。

 

M先輩は私を慰めるように、

 

「アキオ、Sさんのことも分かってやれよ。」「・・・はい。」「Sさんは寂しがり屋で、頼れる男なら誰でもいい方なんだから。」「でもSさんが先輩を見る時の目は熱かったですよね。」「それは気づいてたけどさ。」「私は終始無視されてた!いや、最初から私はSさんに相手にされてなかった!」「アキオ、落ち着けよ!」「私のことはどうでもいいんだ!私と先輩を男ぶりで比較されたんだ!私は負けたんだ!」「いやっ、ちょt」「Sさんが尻軽なのは知ってた!でもだ!でも、女に見定められ、結果的に負けた私はどうしろと!」「おいっ、待てよ!アッキオー!!!」「先輩の浮気者!どうせ私よりもSさんの方が魅力なんだ!不潔!バイナーラ!」

 

私はBL(ボーイズラブ、ならずオッサンラブ)顔負けの、アッー!展開の恋人同士の揉め事でこじれる役を、見事に演じて、逃げ出した。まぁ、悪ふざけとノリもあった。

 

でも内心では、ムカついていた。ガチで。当て馬にされる人の気持ちが心底分かったレベルで。

 

オチとして

 

私はこの本を読んで、心を落ち着けた。

 

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SさんもSさんだが、私も私だった。

 

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以上ー!

 

所要時間1時間1分

文字数2996文字