ビースト先輩、お久しぶりです
私はまた一つ訓練校で奇跡を見つけた。
ビースト先輩に出会った。
今日初めて彼に遭遇した。
他の科の生徒だったが、廊下ですれ違った時私は声を上げかけた。
ビースト先輩。
ネットを趣味にしている人なら一度か耳にしたと思う。
彼はかつて2000年代にかけて活躍?した男性専門男優である。
そして彼が去った今でも語り草になるほどの方。
ただの一介の男性専門男優がなぜここまで知られているのか。
迫真の演技。
ひどい脚本。
生々しさ。
魂の込もったセリフ。
それらが絶妙なバランスとなり、伝説に残る作品が世の中に出回った。
特に
「まずうちさぁ・・・屋上あんだけど・・・焼いてかない?」
は私の頭の中から一生離れないであろうパワーワード。
そして神秘性。
ビースト先輩の消息は現在も不明。
バカッターがやらかした炎上案件で、
本人の情報が次の日には日本中に出回る程、
圧倒的な情報の速さと精密さを持ってしても、
彼の現在の情報は誰も掴めていない。
彼は本当に存在したのか?
今も私と同じ空を見上げているのか?
生きているのか?亡くなっているのか?
と錯覚を覚え、まさに真夏の夜の淫夢としか言いようがない。
そんな私たちの思い、願い、そして好奇心が、
「ビースト先輩○○説」
というとんでも話を今日も作り出している。
中でも
「ビースト先輩速水もこみち説」
普通に強烈すぎんだろ。
そんなビースト先輩が訓練校に存在していた。
私自身、最初は全く気づかず、
しかしよく顔を見てみると、
まさか、
そんな、
でも、
「・・・あの、ビースト先輩ですか?」
という言葉をのど寸前で抑え込み、
それほど酷似していた。
あの日焼けした肌、
ボサボサした髪、
性的に恵まれた体格、
あの鋭い切れ味の瞳、
私の肛門が思わず力んでしまった。
いくらなんでも本人な訳がないと思う。
それでも。
私の中のビースト先輩が現実世界の他人に乗り移り、
「お待たせ!アイスティーしかなかったけどいいかな?」
とささやいてくる。
ビースト先輩、やっぱりあんたすげぇよ。