訓練校に通うことによって、仏へ至る悟りを開きつつある今日
悉皆成仏。
GWに入ってももやり感が抜けない私は、久しぶりに知人とコンタクトをとった。
もちろん知人も、私と同じく人生を間違え、ノーブレーキ、ノーリミッツ、フルスロットルで大暴走している。
そんな落ちぶれた知人と飲むお酒は、ほろ苦かった。
もちろん場所は大衆居酒屋。GWで情熱で夢と希望で浮かれる若者たちの中で、私たちはひどく場違いだった。
私は勢いで生ジョッキを飲み干し、すぐに一本追加した。
そんな知人から見ると、私は雰囲気が変わったらしい。やんちゃでエロネタしか発言していなかった昔とは打って変わって、再会した時は別人に見えた程らしい。
非常に落ち着いており、目がとても澄んでいるそうだ。幾多の試練を乗り越えた者がたどり着けるオーラを醸し出していたそうだ。
「いや、毎日学校で小学生レベルからぱそこんの勉強をさせられ、年下の講師に「はーい。今日はよくできまちたね!」と言われ慣れているだけだぞ?」
と知人にぶちまけたいのをこらえ、生ジョッキ追加!
とたん知人の顔がくもり、愚痴り出した。
「実は俺ん家うまくいってないんだ。嫁とはもう枯れ果てているし、娘も最近はなついてくれないだ。嫁さんの味方になるよう洗脳してやがるんだ。」
私からすれば甘かった。
私の通う訓練校で、×3、子供の養育費をまともに支払わず、借金も踏み倒し、当の本人はお酒で体を壊し、ハローワークを半分脅して、我が物顔で通うおっさんクン(5○歳)に比べたら、その嫁さんと娘さんはまだマシなのを言うのを寸前でこらえた。
訓練校生にまで落ちぶれた私が何を言っても説得力はないからだ。生ジョッキ追加!
知人の愚痴りは続く。
「それだけではなく最近は給料が上がらず、10年以上乗り続けてきた車も売ろうかなと考えているんだ。そもそも維持費でいっぱいいっぱいだし。車なんて足だよな?他の交通便があればいいよな?」
私からすれば甘かった。
私の通う訓練校で、「私にはこれくらいしか趣味がないから」といって、推定500万以上のレクサスを堂々と振り回し、学校の駐車場においている生徒を。レクサスクンを。そのご自慢のレクサスの隣がチャリ置き場なのが、非常にウケる。ウケるんだけど!
でも私はこれも言わなかった。お金の使い方は人それぞれ。美食に費やす人にいれば、松屋で我慢する人もいる。
要はお金を持っているか、いないかだけの話。極めてシンプルな話。生ジョッキ追加!
途中から知人が真顔になり出し、
「本当に今のアキトは変わったよ。ここまで自分の弱音を話すつもりはなかったけど、アキトの悟り切った顔を見ていたらつい・・・。アキト何かこええよ。」
私からす(以下略)
生ジョッキ追加!
生ジョッキ追加!
生ジョッキ追加!
生ジョッキ追加!
気がついた時は家路についていた。
知人からのラインが届いていた。
「早く仕事を見つけて、いい嫁さんを見つけろよ。こどもを作れば人生また頑張れるよ!」
知人の励ましに、私は近所の迷惑も考えず、電柱に上段回し蹴りを全力でかました。